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2004.01.21

■【講演会】TEACCHプログラム研究会 志賀利一先生講演会に参加(その2)■

実は今回の講演は会場設備の都合上プロジェクターが使えず口答のみでした。(志賀先生も相当苦労されたと思います)

 私自身も(誰でも)視覚優位な部分がありますから「働く環境の構造化事例」などについては「写真」や「図面」なしでイメージするのは限界がありました。よって、私の能力不足で消化不良な部分も正直ありますが、なんとか書ける範囲で頑張ってみます。

◆◇◆自閉症の人が大人になった時の配慮◆◇◆                

■企業の生産性と構造化のバランス■
 一般に生産性の高いシステムと言うと、各工程の作業者が一列に並びコンベアに載った製品が少しずつ完成していく「ライン作業」をイメージする人も多いのではないでしょうか? 一方で、自閉症の人が落ち着いて作業するための「構造化」というと、「壁に向かって置かれた作業テーブル」に「仕切り壁」というようなイメージをするかもしれません。

 たしかに、そう考えると代表的な作業環境の構造化アイディアは「生産性が悪い」かもしれませんね。ただ、見た目は全く異なるこれらの作業レイアウトもある程度は融合できるのだそうです。学校や就労施設での構造化は、それ以前に「改善」と言う視点から随所に工夫が施されワークシステムとして構築されています。目線をちょっと変えてやれば、学校や施設は企業にとっても「宝の山」と言うことです。

 製造業の業務分担・工程分析・基本的なラインの作りも障害特性を加味しながら「宝の山」を活用して「改善」すれば自閉症の人も民間企業で元気に働けるのだと言う事を聞いてとても勇気が湧きました。また、最近は製品によって「セル方式」を採用している企業も増えてきています。セル方式はライン作業の対極として説明されますが、一人で全ての工程を覚えないといけないので難しい面もあるそうです。ただ、自閉症の人は「丸暗記」がすごく得意な人もいますからそれこそ作業環境を適切に構造化すれば適応できる人もいるかな?と思いました。

~個人的な意見~
  民間企業に就職する場合は「障害者雇用」の枠で働くわけですから障害特性に対する企業側の配慮が必要になってきます。ただ、本人が構造化された環境の中で将来落ち着いて働けるようになるためには、学齢期からの取組みがとても大切なのだと思います。『今があるから将来がある』のだと。

 成人になってから構造化すれば良いと言うものではないと思います。(何のための自閉症をはじめとする発達障害の早期発見(一歳半検診)なのか?)あと、そもそも「落ち着いて作業する」と言うのが認知能力とは別に多くの自閉症の人にとってはハードルが高いと思います。それに、環境を整えて自立的に出来る事が増えると「自尊心」が育ちます。自閉症児(者)はとっても「自尊心」が育ちにくい部分がありますから、出来れば学齢期のうちから自分で出来る事を少しずつ増やしてあげたいと常々思っています。
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■働く場での「究極の構造化」■
志賀先生が関わっている就労施設での実例についての紹介です。

【実例その1】
★Aさんの特徴・・・・・・・利用者(障害者)からの人望が全くない、嫌がられるタイプ。だんだん就労施設の中で居場所が無くなる。
               (障害者が障害者を好きとはかぎらない)
★最初の工夫・・・・・・・・休憩時間をずらす、休憩場所を変える。 完全に顔を合わせないのはムリ ⇒あまり効果がない。
★究極の構造化・・・・・・施設から出す(=民間の企業に就職する) 
 とは言ってもいきなり企業に就職するのは困難ですから、籍は入所施設に置いた上で企業の研修を数社に分けて受けたそうです。このような継続したフォローを続けたことで民間企業に就職できた実例の一つです。
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【実例その2】
★Bさんの特徴・・・・・・・特定の職員(同姓)がお気に入りで抱きついてしまい仕事にならない。
★究極の構造化・・・・・・職員の担当業務を変える(担当から外す)。施設の中では時間と場所をずらして会わないように職員に移動してもらう。

 これは自閉症療育の基本でもある「原因を廃除する」というアプローチと同じだと思います。人間の相性ですから理屈抜きに「好き・嫌い」なのでしょうね。ただ、「職員や支援者を変える」と言う方法は非常にハードルが高い部分もあるかと思います。

 しかし、必要となればそれをすんなりやってしまう所に一歩進んでいる所との差を感じました。 自閉症の人はとっても素直ですから、表現できるかは別として「そこそこ好き」みたいな感覚は難しいと思います。相性とは言っても極度な「好きor苦手」と言う人間関係を放置するのは精神的にも危険であると言うのを理解しているからこその対応なのだと思いました。  
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【実例その3】
★Cさんの特徴・・・・・・作業的な能力は比較的高い。パニックになると家に帰ってしまい、2,3日仕事場(施設)に来なくなる。
(時間、行動の見通しならぬ、「気持ちの見通し」が立たない様子)  
★究極の構造化・・・・・スランプの概念を教える。 気持ちには「スランプ」と言うものがあることをグラフで視覚的に教えた。「スランプの次は上がる」ということを本人が理解したことで「自分で立ち直る力」を身につけ、休み癖がなくなり民間企業へ就職出来た実例。

 「概念」を教えると言う時点で、明らかに療育的な方法だと思います。たしかに小規模作業所や就労施設は障害者療育の要素も強いです。ですからこういった事例は支援者の能力が一定以上でないと困難であるとも思いました。ただ、「良い専門家」と言うのは自然発生するものではないため正当な報酬を受けるシステムが必要なのだと思います。        
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 最初に「究極の構造化」なんて言われて、「どんなにすごい構造化なんだろう?」とワクワクした割にはシンプルな内容で、な~んだと思いました。でも、よくよく考えてみると納得と言う感じです。何でもそうかもしれませんが『究極=基本』なのかもしれません。私的なジャンルですが、構造解析(シミュレーション)なんかも本当のプロフェッショナルは出来るだけ簡単な力学モデルを上手に使おうとします。そして、それだけでは足りない時にだけ複雑な力学モデルを作り、時には専門的なテクニックも使います。

 要は、基本部分を長所・短所までしっかりと奥の奥まで理解した上で応用してこそ実践で生きるのではないかな?TEACCHの構造化手法や療育と何かすごく共通項を感じてしまいます。そう考えると自分はTEACCHに関してはずっとアマちゃんなんだろうなぁーって思いますし、専門家の人ってすごいなぁーって、尊敬してしまいます! そして私は父親ですからこれからも「子ども(セイヤ)の専門家」を目指そうかと思います。

 これで、講演会報告(その2)を終わります。
次回は、講演の中で最も印象に残った「大人になった生活の支え」として、『生涯収入と支出のシミュレーション』について書く予定です。

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