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2006.07.16

■【教育】『標準化』のためのマネジメントスキル

 先回の’社会性’に関する記事の続きとして、私なりに感じている「教育現場におけるこれからの課題」を書いてみたいと思います。(今回の記事は、ちょっと長いですよ) 

 結論から言うと、それは『標準化』です。「社会性」は教育現場だけで担えるものではないと個人的には思っていますし、ちょっとキツイ言い方ですけど、今の教育現場で語るには10年早いテーマのような気もしています。 (※私自身は20年くらい早い気がするので、社会性についてはその時に。。。)

 先回の記事より 「a:方法論」については、TEACCHにおける構造化、太田stage等で紹介されている課題設定、応用行動分析に基づくアプローチなどなど、これだけ手立てが具体化されていれば充分でしょう。「方法論としては王道が見えた」という表現は、私も妥当かと思います。 
 
 次に「b:中身の話をしていく必要がある」についても異論なし。そして、私が考える中身(を改善するため)の目玉が『標準化』です。

 トミー先生のように、自身のスキルアップを怠らず、常に創意工夫して子どもたちのために頑張っている教師の方々がいることは承知しています。ただ、それは残念ながらごく一部というのも事実でしょう。「良い実践は属人的に滞留している」というのが現状ではないかと思います。

 また、インターネットが普及した今も、この現状はたいして変わっていませんから、「情報発信」だけでは改善されないということも言えるかもしれませんね。

 では、どうすれば解決できるのか?その前に、このような問題意識に関連する記事をカイパパさんが以前に書かれているのでご紹介しておきます。

◆カイパパ通信自閉症スペクタクル ~火消しと真因~ から引用◆
 福祉や教育の業界で、スーパーマンのような人がいる、奇跡のようなサービスがある、憧れの事業所がある……すごく素晴らしいこと。でも、それが全国津々浦々の「当たり前」になっていないことが問題なんだ。

■マネジメント・スキルの必要性
 このあと、カイパパさんはトヨタの「なぜなぜ5回」等にも触れていますが、最初に書いた「標準化」を実現するための一つの条件としても、企業で日常的に行われているようなマネジメント・スキルの導入、定着が必要だと私は感じています。

 もう少し言うと、最初に「方法論としては王道が見えた」と書きましたが、これはWhat(何が)が明確になっているということ。Why(なぜ)を追求するということは、その前提としてWaht(何が)が明確になっているということですから、順番としても妥当なんじゃないかなぁ、と思っています。(What → Whyは一般的な問題解決の順番です)  

 少なくとも、今までのやり方(偉い先生を招いて障害特性や理解に関する研修を実施)だけでは、「良い担任にあたってラッキー!」という、スーパーマンに依存する現状を打開することは難しいと私は思っています。

 私は自身の仕事(企業のエンジニアです)に置き換えることがありますが、やはり、方法論・理論は明確です。ただ、それだけでプロの仕事ができる人は少ないかもしれません。では、企業においても、特定のスーパーマン(=優秀で出来る人)に依存しているかというと。。。。

やっぱり、そういう部分は少なからずあります(^^ヾ   

 まぁ、これはある程度は仕方ないでしょうね。本当に優秀な人って絶対数が少ないですから。ただ、私のような凡人でも、企業ではそれなりに専門的なプロの仕事が出来ます。要は、「優秀なスーパーマンに技術や知識が滞留しない仕組み」があるんですね。この点が教育現場と企業の一つの差ではないかと個人的には思っています。

 私の知る限り、どの(優良)企業のエンジニアと話をしても、業種による形の違いこそあれ、実際に行われているエンジニア業務の質・レベルには、それほど大きな差を感じません。その要因の一つとして、企業では全員が一定レベルの仕事がこなせるように『標準化』が意識されているため、結果として、上下の差が小さくなっている(少なくとも一定のボトムアップはされる)気がします。

 また、それを実現する為には、チーム間、部署間の「連携」(連携は福祉でもよく耳にする言葉ですね)が必要となりますが、それを実現するための、プロジェクト・マネジメントのスキルの高さが、ひとつのポイントだと私は思っています。

 「それはモノ作りの分野でしょ、人を育てる現場は別だよ」という意見も聞こえてきそうですが、まぁ慌てずに。

 マネジメントというと、管理職だけの話と感じる人が多いかもしれませんが、それはケースbyケースです。チームにおける問題発見・解決手法は広範囲に活用されるものですし、様々な相乗効果が期待できます。そして、その効果の一つに「標準化」もあるわけですが、最終的には「元気なチーム」が出来るわけですから、「みんなで楽しく皿回し(by楽知ん研究所)」に繋がるわけですネ~。現に私の所属する職場のチームは、全員がやたらと元気です。

 マネジメントに関する技法はモノ作りの現場で育ったものが多いですが、そもそもの目的は「効果的な人材育成、組織作り」など、人に関するものですから、福祉・教育、どんな分野にも当てはまるはずなんですよね。

 私自身はエンジニアですのでマネジメントは専門外ですが、KT法などのプロジェクト・マネジメントの技法は、自身のチームでも頻繁に活用しています。また、この手の技法は色々なものがありますが、ある意味普遍的なものなので、普及しているものはどれも本質的には似ていますね。KT法の問題分析のフォームには、「Why」を段階的に記述する部分もあり、その主旨は、トヨタの「なぜなぜ5回」と同じです。

 ということで、私が思う「教育におけるこれからの課題」は、マネジメントスキルの活用・導入とも言えます。

■インシデント・プロセス法への応用
 長くなったついでに、トミー先生のホームページに「インシデントプロセス法」(ケース・スタディの一種)が紹介されていますが、カイパパ(著)「ぼくらの発達障害者支援法」で紹介されている、「マイ施策提案会議」とやり方は似ています。

 どちらも、KJ法などのブレイン・ストーミング手法に通ずる部分もありますが、特に、インシデントプロセス法に関しては、KT法の「IS、ISNOT」の記入フォーム(思考プロセス)を活用すると、話題提供者にとっても、更に有用な情報が得られる(整理される)ことでしょう。興味のある人は、ぜひお試し下さい(^^)

【関連書籍】
「新・管理者の判断力 ―ラショナル・マネジャー」 C.H.ケプナー (著)         
かなり古い本ですが、KT法の仕組み・イメージは掴めます。

 インシデント・プロセス法にKT法を組み合わせることは、昨年度のつぼみの会主催の施設職員セミナー(講師:諏訪利明先生)の時の、ケース・スタディ形式の研修会を観ていて、私が感じたことです。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございました(^^)

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コメント

たいへん興味深い内容でした。
長いどころか、ジョーさんは簡潔にまとめられていると思います。

昨年、仕事でアメリカへ出かけた時、ロス近郊で自閉症の子供達を教育プログラムを支援提供している機関を訪ねる機会がありました。そこで高名な先生方の研究ビデオを見ましたが、私の英語力が乏しくて内容はよくわかりませんでした。
その中で「autistic kids」という言葉が使われていて、へえchildrenじゃないんだなー、博士のような人が親しみがあっていいと感想を話したら「kidsは会話では普通に使う、単に『子供』で特別な意味は無い」「彼は功績者だが、私達のスタッフも素晴らしい」「愛情や親しみが持てなくても、私達はいつも安定したサービスを提供できる」と言われました。
衝撃的で、今もよく覚えています。

上手く物事を処理できない凡人にとって、KT法などのツールを使ってスーパーな人たちの仕事を見習うのは、底上げに有効だと思います。チームで取組めば経験や知識を共有でき、より普遍的な分析になりうるし。
多くの人々が抱える問題について必要とされるのは、決してベストの答えではなく納得できる答えである、それがニーズに応じたサービスとなる…マネジメント・スキルの研修で聞いた言葉です。
こうしたツールは、老人介護では試されている現場もあります。そこでは他者の分析を否定するまではなくても自分の価値観を持ち込んでしまう人も少なくないので運用に難儀している様子ですが、若いスタッフには好評のようです。
何でも試してみるのは良いことですね。風通しの良い元気なチームが増えるのは大きな成果に繋がりますから。
長くなって失礼しました。

投稿 ほし | 2006.07.17 21:21

[ほしさん]
ほしさんは老人介護の現場にも詳しいんですねー(^^)
福祉といっても、実際には色々とあるでしょうから大変参考になります。

それに、ノウハウの共有など、横の繋がりができるだけで、思いがけない
相乗効果が発揮されるかもな~、なんて想像することはたくさんあります。
PECSにしたって、自閉症や知的障害だけでなく、認知症などの支援
にも使える技術のような気がしますしね。

投稿 ジョー | 2006.07.19 01:27

読んだ。簡潔でよくまとまっていると思ったよ。

結論として、「自分たちでやるしかないわなあ」ということだよね。

しっかり地力をつけて、やりましょう。

投稿 カイパパ | 2006.07.19 20:32

カイパパさん、お久しぶりです(^^)
そういえば、記事の引用をしておいて、トラバするのを忘れていました。

>しっかり地力をつけて、やりましょう。
★そうですね(^^ 私も、今年・来年は特に「自身のスキルアップの年」と
位置づけていますので、じっくり、根気よく頑張っています。
最近、ようやく英語の勉強が苦痛にならなくなってきましたヨ♪

投稿 ジョー | 2006.07.20 00:44

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